書店巡り(定点観測)のすすめ

書店は宝の山

世の中の気分と共鳴するために

「なるほど、こんなお客さんがこれを買っていたのか!」
「このお店は並んでいるのに、隣のお店は閑古鳥が鳴いているのは、なぜだろう?」
「3か月前はあんなに繁盛していたのに、どうしたんだろう?」
「この仕掛け方は面白いなぁ。どこまで需要があるんだろう?」

飲食店や小売店を経営していたり、企画やマーケティングに携わっていたりする方は、冒頭のようなフィールドワーク(気になるお店巡り)を実践している方が多いでしょう。

最近はキュレーションサイトという便利なものもありますが、やはり自分の目で確かめないと、お客さんの気持ちはわかりません。だから僕は長い間、定点観測をしています。

こうして世の中の気分に同調しておくことが、情報発信者—–僕の場合は、大衆に幅広く雑誌や書籍を届ける編集者—–に必須の感覚だと思います。もう一言付け加えるなら、自分の専門ジャンル以外にも幅広くアンテナを張り、積極的に観察して歩くことが、器の大きな編集者になる近道に違いありません。

その意味では、言葉で説明する必要のないジャンル—–音楽アートファッション—–の動向にも注目しています。世の中の気分や向かう先が、世界規模でわかってくるからです。

 

 

3つのサイクル、3つの質問

kansatsu2

僕のフィールドワークには「毎週」「毎月」「イベント単位(1年 or 半年ごと)」の3サイクルがあって、観察するときには次の質問をよくしています。

Q1このお店は、一言でいうと何を売っているのか?

何というのは本質的なもの、感情的なものです。例えばスウェーデン生まれの家具専門店『IKEA』を巡っていると、結婚を控えたカップルが新しい生活を思い浮かべながら、楽しそうに家具を選んでいる姿に出合います。そんなときに「あぁ、このお店は幸せな生活のイメージ(夢)を売っているんだなぁ」と感じるわけです。

ここが理解できると…「だから こうなっているんだ」とか、「こうすれば もっとよくなるのに」とか、「こんなアフターサービスを作ればいいのに」といった考えが、次々に浮かんできます。そのまま自由に発想しながら、アイデアを書き留めておけば、財宝が詰まったネタ帳になることでしょう。


Q2
どんなお客さんが、どんな気持ちでお財布を開くのか?

「気持ち」は「期待」と言い換えてもいいでしょう。これは現場に行かないとわかりません。特に、初めて観察しに行く場所では、この質問をよくしています。

お客さん同士の会話や店員さんとの会話にも耳を傾けておくと、具体的な期待を把握しやすくなります。注目したお客さんが、店内をどんなルートで巡るのかも、大切な観察ポイントです。


Q3前回と何が変わり、何が変わっていないのか?

定点観測では、変化の潮流をとらえることが重要です。流行り廃り、お客さんの心変わりをいち早く察知するのです。特に、長く続いている人気店は「変えてはいけないもの」と「変えなければいけないもの」をよくわかっているので、スタイルの違う様々なお店を観察しながら、本質を見極める目を養うように心がけています。

 

 

ランキングばかり見ていてはいけない

書籍や雑誌の企画を考えるときにも、上記のフィールドワークが役に立ちます。もちろん、雑誌と書籍を多数平置き(面陳)している大型書店の定点観測も欠かせません。

中でも雑誌は毎月、毎号、編集者が知恵を絞っていますから、時代の気分をとらえるのに好都合。同じジャンルの雑誌をパラパラと見比べているだけでも、多くの発見があります。ファッション誌や情報誌を中心に増えているバッグサイズ(ミニサイズ)の併売(『ドマーニ』 2012年6月号が先駆け)も興味深い動きです。

もちろん「どんなお客さんが、どんな期待感を持って手に取り、どんなページを見て、どんな顔をしてレジに向かうのか?」も大切な観察ポイント。

インターネットのランキングを見ているだけでは、こうした顧客心理をつかみようがありませんからね。

というわけで、お客さんのハートに届く情報発信をしたかったら、書店巡り&人気のお店巡りを定期的に繰り返すことをおすすめします。

 

 

まとめ

定点観測を通じて、世の中の気分にシンクロしておくことが、望まれているテーマのkindle本を適切なタイミングで提供する秘訣だと思います。最近は、世の中の変化が速いので、観測スポットを増やして、専門以外の分野もウオッチするようにしています。異業種の動きにこそ、ひらめきの源泉が隠れているものですよね。