稼ぎたかったらベストセラーを狙わない?!

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雑誌編集者を23年間やってきたからこそ、大きな可能性を感じているのがkindleダイレクト・パブリッシング(電子出版・自己出版/以下、kindle出版)です。

私自身がkindle出版に取り組んで実感するのは、雑誌とも書籍とも異なる「作戦=作り方・売り方・儲け方」が求められるということです。しかも、その成功法則が確立しきっていない。こうした混沌とした状態だからこそ、簡単に下剋上を起こせます。誰でも勝ち上がれるチャンスが転がっているんです。

 

そんなkindle出版の成功方法を考えるにあたって、まずは敵(?)、つまり一般的なマスメディアとの違いを確認しておきましょう。

主な収益源に注目すると下記のようになります。
●テレビ/ラジオ=広告
●新聞=購読料+広告
●書籍=売り上げ
●雑誌=売り上げ+広告
●フリーペーパー=広告
●kindle出版=売り上げ(+………)
 

雑誌は「販売部数≠利益」

ご覧のように、新聞と雑誌は「読者から」も「広告クライアント」からもお金をいただきます。
では、どちらを向けばいいのでしょうか?

新聞は「報道」の側面が強いのでフラットな立場を取ろうとしますが、雑誌は編集方針(編集者)によって変わります。その基本は「読者」に価値を提供し、リピート購買してもらうこと。しかし、大多数の雑誌は書店等の売り上げだけでは制作コストをまかないきれず、一定以上の広告が入らないと赤字になってしまいます。だから編集者には「広告クライアント」の期待に応えつつ、「読者」の役に立つ情報発信が求められるのです。

実のところ、雑誌はとても高コストな媒体で、1冊発行するだけでも書籍の5~20倍(ページ数や発行部数による)の費用が必要になります。カラーページが豊富なうえに、取材を伴う大小様々な企画が1冊にまとめられているからです。なぜ、そうなっているのかは、機会を改めて説明します。

それぞれの企画に編集者や記者(著者)、カメラマン、エディトリアルデザイナー(写真や文字の配置を指定)が関わっていますから、もうそれだけで高コストなのがわかるでしょう。しかもスタッフ全員がコスト意識を持たないままクオリティを追求したら、瞬く間に制作費が膨れ上がってしまいます。100万円アップなんて訳がありません。

001-zassiだからといって取材を絞ったら、誌面が枯れてしまい、読者が離れていきます。「いま」を切り取るのが雑誌の役目ですから、ライブ感は絶対に譲れないポイントなんです。

つまり読者の顔色と広告クライアントの顔色、制作スタッフの顔色を見て、総合的に舵取りしなければならないのが雑誌。このバランスを誤ると……
完売したのに、儲からなかった
ということが起こり得ます。私も何度か経験があります。

しかも、販売部数(実売部数)が確定し、原稿料や各種経費の請求書が届いて収益が明らかになるのは2か月後。予算管理ができていないと、忘れたころに赤点の通信簿を突き付けられて、青くなってしまいます。

もちろん、その逆も可能です。経費をうまくコントロールして「あまり売れなくても儲かる」状態を作り出しながら、読者に喜んでもらい、広告を獲得することもできます。それこそ編集長の腕の見せ所と言えましょう。

 

書籍は「ベストセラー≠幸せ」

書籍の場合は、事情が大きく異なります。

一般的には、雑誌のような取材を重ねませんし、印刷もモノクロですから、紙代・印刷代を含めた制作コストは「雑誌の数分の1」に収まります。著者印税も10%が相場。売れたら売れただけ出版社の利益になります。 

ただ、新刊出版点数は1年間で82589(2013年)。その多くは1週間で返品され(店頭から姿を消し)、実売率は2割台にとどまるとも言われています。

ここで、改めて考えてみてほしいのが「何のために本を出すのか?」です。

わかりやすい例を挙げましょう。あなたがコンサルタントで「自営業者向けのノウハウ本」を出したいとします。では、自営業者の数は?

就業者6351万人のうち、自営業者は556万人(2014年)。その比率は就業者の8.7%にとどまります。(出典:総務省統計局・労働力調査

ここで色気を出してベストセラーを狙おうと思ったら、マス(91.3%のほう)にアプローチせざるを得ません。本のタイトルや内容を、就業者向けにアレンジするわけです。担当編集者もそれをすすめるでしょう。

しかし、それで本業(コンサルタント)のクライアントは増えるのでしょうか?

通常は増えません。TVや雑誌の取材は受けるかもしれませんが、それとて就業者向けの内容になってしまいますから、やっぱり自営業者には届かないんです。

むしろ、ベストセラーは狙わず、自営業者のハートに突き刺さるタイトルと内容にして、自営業者が立ち寄る場所(インターネット上を含む)でプロモーションし、クライアントの獲得に注力したほうが、はるかに効果的。

長期的な視点で成功を考えないと、「書籍が売れても人生は好転しなかった」というパターンに陥ることもあるのです。

 

kindle出版は自由自在

kindle-imageこの点で、kindle出版は自由がききます。出版コストがゼロですから、赤字リスクを恐れずに、思い切った作戦が取れます。

例えば、同じテーマを自営業者用と就業者用に書き分けて2冊発行することもできますし、対象読者をビシッと絞り込み、その方たちが本当に知りたいことにズバリと答えることもできます。

長年、雑誌編集者をやっていると、雑誌本体の売り上げは伸び悩んでも、「読者からの反響は大きく、取り上げた商品やサービスがよく売れる記事」に出合います。れこそ電子書籍向き。その情報を必要としている読者に、着実にkindle本を届けることができれば、初めて本を書く著者が大手出版社にひと泡吹かせることも可能です。

出版社のモノサシは「売れるかどうか」であって、「世の中に必要かどうか」ではありません。結果、あらゆるものがコモディティ化し、似たようなものばかりになってしまうからこそ、私はみなさんに「自分が体験してわかったこと」の発信=kindle出版をおすすめしています。

それが「正しいかどうか」に気をもんでも、時間の無駄です。正解の基準は時代や環境によって変わってしまいますし、何年たっても答えが出ない問題もあるからです。

むしろ、「こう考えて、こんなことをしたら、結果はこうなって、こんなふうに考えた」という、あなただけの経験をシェアして、読者に「考える(学ぶ)きっかけ」を提供する。それでいいのではないでしょうか? それこそ、読者を信頼した出版スタイルだと思います。

そして、その電子書籍の前後に出会いや体験を準備し、読者の変化を加速させる「流れ」を設計する。それこそが、新しいメディア・kindle出版の成功法則と言えましょう。

 

まとめ

ただ単に出版するのではなく、読者も著者も一緒になって成長していく。いま、世の中が求めているのは、そんな「実感のあるつながり」ではないでしょうか?

つまり……うまくいくkindle出版は「潜在読者との出会い→コミュニケーション→kindle本の発行→コミュニケーション→出版したテーマを体験する場の提供→読者どうしの出会いと成長」という流れになります。この前半部分(体験する場の提供まで)がインターネットで成立するのも、今の時代に合っていると思います。


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